躰道 己錬館

躰道とは?

躰道とは、「たいどう」と読みます。
躰道とは、1965年に故祝嶺正献最高師範が創始した日本の武道です。
躰道とは、沖縄玄制流空手道を基に五つの体軸の変化、旋(せん),運(うん),変(へん),捻(ねん),転(てん)の動きを加えた武道です。体軸を変化させて攻防を展開する従来の武道にはない新しい武道です。大まかかつ、シンプルに表現すると、「器械体操の動きを取り入れた空手」のような武道で、地を這うような動きや宙返りから、蹴ったり、突いたり、よけたりします。
躰道は、日本以外にも、スウェーデン、フィンランド、フランス、アメリカなど世界約12ヶ国に普及しています。
躰道は、実戦、法形、展開という競技があります。
躰道は、年齢、性別を問わず稽古できます。女性が多いというのも特徴かもしれません。
躰道は、年齢、性別毎の大会があります。お年寄りから子供まで体力にあった競技があります。
躰道は、(特に子供の)あらゆる運動能力の開拓に役立ちます。
躰道は、(特にお年寄りの)体力増進、健康維持に役立ちます。
躰道は、(特に社会人の)ストレス発散、運動不足解消、護身に役立ちます。
躰道は、競技自体が社会を表し、習得過程における自己形成において社会還元することを目的としています。
躰道は、「百聞は一見に如かず」です。
※百聞は一見に如かず(しかず)=百回人から聞くよりも、一度実際に見たほうがよくわかる意

故祝嶺正献最高師範
故祝嶺正献最高師範


基本技
躰道には体軸を変化させて繰り出す独特の技があり、5つの系統に体系化されています。
簡単に補足しながら説明してみます。


技とは、体軸(脊柱軸)が演武軸を中心に右方あるいは左方旋回しながら前進あるいは後退する独楽状の旋回運動によって行なわれる攻防一体の武技である。

旋の動き
林を駆け抜ける疾風の如く、急所をカバーしながら旋回することで、より急所を捉えられないようにして、その旋回の力を利用し繰り出される技。


技とは、体軸(脊柱軸)が演武軸に対して平行であり、上前方、下前方または上後方、下後方へ上下する昇降上の波状運動によって行なわれる攻防一体の武技である。


打寄せ叩きつける荒波の如く、飛びながらの技、飛び降りざまの技など、上下の動きで相手の攻撃をかわし、その勢いを利用し繰り出される技。


技とは、体軸が演武軸に対して一定の角度をとりながら倒れる倒木状の運動によって行なわれる攻防一体の武技である。


風に流される雲の如く、相手に攻撃されるままその方向にかわしながら倒れ、その勢いを利用して繰り出す技。


技とは、体軸が演武軸とある一定の角度をなす斜状軸のまわりを右または左回旋でねじる螺旋状の運動によって行われる攻防一体の武技である。


大海の渦の如く、体をねじりながら相手の攻撃をかわしその勢いを利用して繰り出す技。かにばさみのように相手を絡み倒す技もある。


技とは、体軸が演武軸のまわりを弧状または弓状を呈しながら、前後左右上下へ回転する球転状の運動によって行われる攻防一体の武技である。


千変万化する雷の如く、転がったり、宙返りしたり、アクロバティックな動きで攻撃をかわしながら相手を翻弄し、ひるんだところに回転の勢いを利用して繰り出す技。

この五つの基本技、「旋」「運」「変」「捻」「転」には「動功五戒」というそれぞれの躰技を表し、注意する点をまとめている言葉があります。それは別項目で説明させていただきます。



実戦競技
「実戦競技」は空手道で言うところの「組み手」です。個人実戦と団体実戦があります。素手での突き、蹴りなどで攻防し、その技の決まった度合いによって有効、技あり、一本の判定で雌雄を決します。
しかし、躰道には空手道などの他の武道とは違う特徴があります。

独特の構え
独特の足運び「運足(うんそく)」
独特の動きである「体軸の変化」(「旋」、「運」、「変」、「捻」、「転」)から繰り出される技(躰技)

そしてこれらをうまく構成し相手を制したものが勝利を得ることができます。言葉だけじゃわかりづらいでしょうか、そうわかりづらいでしょう。

実戦競技の試合 躰道はスポーツで言うところの「紳士のスポーツ」ラクビーのように、複雑に整備されたルールがあり、ぱっと見は選手達の運動能力の高さが目立ちますが、かなりメンタル的要素の強い武道です。そのせいか、明らかに運動能力に差がある二人が試合をしても、運動能力が劣っているほうが勝つ時もしばしば見受けられます。体格においても同じことがいえます。

また、先に「技の決まった度合いによって有効、技あり、一本が決まる」と記しましたが、その「度合い」とはただ「威力のある技」というわけではなく、体育的、精美的要素も含まれてなくてはなりません。

ルールを無視した技、もしくはルールを無視した動きからの技はいくら相手を打ちのめしたとしても認められません。また、その技の美しさ、芸術性も評価の対象になります。そのため、力のない人や体力の劣る人でも体格の大きい人に勝つことができます。また、胴着部分に有効打をもらうと、たとえ防御したとしても判定をとられます。

そのため、躰道の実戦は相手の技を体軸の変化でかわしながら相手を攻撃します。非常にスリリングで見ているものを興奮させますし、躰道の実戦を習得したときのおもしろさは格別です。

また躰道の実戦は、「社会通念と躰道の行動形式との競合」をはかっています。社会における行為行動の手順は、「思考・判断・方法・結果・反省」の順序で行われます。

躰道における実技展開の手順は、「運足・操体・制法・極技・原態」の順序で行われます。こうして躰道の稽古を通して社会通念やマナーの元となる心を磨いてほしいという狙いもあります。

また、団体実戦では5対5で一人ずつ勝ち負けを決して行くのですが、この競技こそまさに躰道の花形競技です。定期戦、地区大会から、全国区の大会まで、たいてい他の競技以上に盛り上がります。各県、地区、大学のプライドをかけた勝負は、応援するものを巻き込んで会場中を歓声の渦にします。
また、団体実戦の場合、5人の選手と1人の競技監督によりチームが構成されます。

そして選手5人に「旋」「運」「変」「捻」「転」の5つの技が振り分けられます。持ち技での判定は有利になりますのでこの振り分けが非常に重要になります。そして競技監督は選手たちが有利に試合が進められるようサポートします。

実戦競技は、法形競技で鍛錬した技や構え、展開競技で磨いた新技や運足、運身、そして稽古の中で培った経験、作戦、ひらめきの全てを使って競技する躰道の稽古の集大成といえるでしょう。


法形競技
「法形競技」は空手で言うところの「型」です。個人法形と団体法形があります。 「創造進化の武道」と唱える躰道では「型にはまる」事を嫌っています。その為に「法則に乗っとりかつ変化する物」という意味で「法形」と言っています。

法形競技の試合 法形には、体、陰、制、玄、命の5つの系統があり、体に5つ、陰に5つ、制に3つ、玄に4つ、命に3つの法形があります。5つの法形にはそれぞれの特徴がありますが、大会や審査でよく使われるのは、男子法形競技で使われる「体の法形」、女子法形競技で使われる「陰の法形」、壮年法形競技で使われる「命の法形」です。

このように躰道の法形競技は、競技者自身にあった法形を稽古することができます。体の法形は力強く、ダイナミックでアクロバティックな動き。陰の法形は美しく、流水のように流れるような動き。命の法形は老若男女を問わず誰でもできるように、体の中の気の流れを意識したゆったりと表現される動き。といった感じでしょうか、この三種の法形は全日本大会、世界大会などでも競われている競技です。

法形は自律的な十の要素から構成されています。

1.用意と起心 2.体軸と整体 3.攻防と陰陽 4.緩急と強弱 5.伸縮と剛柔
6.気合と威力 7.着眼と目標 8.呼吸と勢法 9.運足と運身 10.解体と残心

これら自律的な十の要素は、法形の十大要素と呼ばれていて、他律的要素(「懸」「対」「表裏」)の実技を前提として行われます。大会、審査での評価もこれらの習得の度合いによります。

個人法形競技の試合は、1対1の形式で行われます。演武者は紅白に別れます。勝ち負けは紅白二本の旗を持った3人の審判にゆだねられます。審判は演武が終わり次第、上記の項目をより習得しているであろう演武者に笛の合図で一斉に旗を上げます。そして2本以上の旗を得たものが勝者となります。

また、「創造進化の武道」躰道の法形ではある程度の自由度があり、同じ法形でも演武者によってより高度により創造的に演武することができ、その操法が躰道の操法としてふさわしいと認められたときはより有利に判定されます。

また、団体法形競技では5人一組で演武を行い、各チームに点数がつけられ順位を決めます。5人がぴたりと同じ法形をする様は圧巻です。団体法形では調和がもっとも重要視され、次に技の難易度や、構え緩急の使い方等が判定のしどころとなっています。

一対一が常の武道においてこのように団体でもってお互いの技や心を高めあうことができる競技があるのも躰道の他の武道にない特徴かもしれません。


展開競技
展開競技は時代劇の殺陣(たて)のような競技です。主役1人と脇役5人で行い、主役が5人の脇役を25秒から30秒の間でやっつけていく競技です。

また脇役5人には1(旋)、2(運)、3(変)、4(捻)、5(転) の持ち技が与えられていて、持ち技を活かした実技を主役に向けて展開します。

その様は転がったり宙返りしたり、アクロバティックで、素早く、力強く、演武者どうしがぶつかるすれすれであったりと非常にスリリングです。

この競技、主役と脇役の間合いが離れすぎていてはただの「演戯」になってしまいます。しかし、近づけば近づくほど失敗するリスクもあがりますのでそんなせめぎ合いも見ているものを興奮させます。そんなせめぎ合いの中、躰道の運足、運身、基本技が繰り広げられ、主役が脇役を倒すときに大抵一度はめったに見られない大技や「新技(しんぎ)」が繰り広げられます。

そう、この競技で求められている大きなテーマは「新技創作」です。武道に限らずあらゆる運動の世界では、競技の必要性から常に新しさを求められていることでしょう。躰道はいわゆる武道の「伝承保持」というスタイルに固執することなく、「伝承変革」していかなくてはいけないと考えています。何度か書きましたが、躰道は「創造進化の武道」なのです。

しかし、社会に出ても一緒ですが、ただやみくもに発案し発表すればいい訳ではありません。一般的に理論骨子をたてるときは、1「想定」2「方法」3「行動」4「調和」5「改心」6「適用」7「創作」の過程をたどるものと考えられます。新技創作の流れも同様です。こうして創作された新技が展開競技で決まったとき判定は非常に有利に働きます。

展開競技はぱっと見も派手で面白く、掘り下げていくとどこまでも奥の深い競技で、やはり躰道の花形競技といえます。躰道をやっているもの、見ているものなら一度は「展開の主役になりたい!」と思うことでしょう。


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