「実戦競技」は空手道で言うところの「組み手」です。個人実戦と団体実戦があります。素手での突き、蹴りなどで攻防し、その技の決まった度合いによって有効、技あり、一本の判定で雌雄を決します。
しかし、躰道には空手道などの他の武道とは違う特徴があります。
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独特の構え |
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独特の足運び「運足(うんそく)」 |
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独特の動きである「体軸の変化」(「旋」、「運」、「変」、「捻」、「転」)から繰り出される技(躰技) |
そしてこれらをうまく構成し相手を制したものが勝利を得ることができます。言葉だけじゃわかりづらいでしょうか、そうわかりづらいでしょう。
躰道はスポーツで言うところの「紳士のスポーツ」ラクビーのように、複雑に整備されたルールがあり、ぱっと見は選手達の運動能力の高さが目立ちますが、かなりメンタル的要素の強い武道です。そのせいか、明らかに運動能力に差がある二人が試合をしても、運動能力が劣っているほうが勝つ時もしばしば見受けられます。体格においても同じことがいえます。
また、先に「技の決まった度合いによって有効、技あり、一本が決まる」と記しましたが、その「度合い」とはただ「威力のある技」というわけではなく、体育的、精美的要素も含まれてなくてはなりません。
ルールを無視した技、もしくはルールを無視した動きからの技はいくら相手を打ちのめしたとしても認められません。また、その技の美しさ、芸術性も評価の対象になります。そのため、力のない人や体力の劣る人でも体格の大きい人に勝つことができます。また、胴着部分に有効打をもらうと、たとえ防御したとしても判定をとられます。
そのため、躰道の実戦は相手の技を体軸の変化でかわしながら相手を攻撃します。非常にスリリングで見ているものを興奮させますし、躰道の実戦を習得したときのおもしろさは格別です。
また躰道の実戦は、「社会通念と躰道の行動形式との競合」をはかっています。社会における行為行動の手順は、「思考・判断・方法・結果・反省」の順序で行われます。
躰道における実技展開の手順は、「運足・操体・制法・極技・原態」の順序で行われます。こうして躰道の稽古を通して社会通念やマナーの元となる心を磨いてほしいという狙いもあります。
また、団体実戦では5対5で一人ずつ勝ち負けを決して行くのですが、この競技こそまさに躰道の花形競技です。定期戦、地区大会から、全国区の大会まで、たいてい他の競技以上に盛り上がります。各県、地区、大学のプライドをかけた勝負は、応援するものを巻き込んで会場中を歓声の渦にします。
また、団体実戦の場合、5人の選手と1人の競技監督によりチームが構成されます。
そして選手5人に「旋」「運」「変」「捻」「転」の5つの技が振り分けられます。持ち技での判定は有利になりますのでこの振り分けが非常に重要になります。そして競技監督は選手たちが有利に試合が進められるようサポートします。
実戦競技は、法形競技で鍛錬した技や構え、展開競技で磨いた新技や運足、運身、そして稽古の中で培った経験、作戦、ひらめきの全てを使って競技する躰道の稽古の集大成といえるでしょう。
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